インタビュー

西麻布で和食と洋食の融合が楽しめる「だし秀」の料理長に出汁についてお伺いしてきました。

山本 博之さん

1975年生まれ 東京都出身
だし秀料理長

子どもの頃にテレビに映った料理人を「格好良い」と感じ、そのまま大阪の調理専門学校へ入学。

卒業後、京都の料亭【京料理 木乃婦】で3年、大阪の割烹【旬屋 じょう崎】で11年修業し腕を磨き、その後、【麻布 秀】の門をたたく。麻布 秀では料理長の右腕として7年技を磨き、この度だし秀の料理長に就任。

和食の料理人として21年の修行

この度はオープンおめでとうございます。
山本さんはこちらの料理長としてオープンに携わっていらっしゃいますが、元々はどちらで修行をされていたのですか?

山本 博之さん

子供の頃から料理人に憧れていました。出身は東京だけど関西で勉強したいと思い、京料理 木乃婦(きのぶ)という老舗の料亭、そして大阪の旬屋 じょう崎という懐石料理屋で修行をしました。
関西で10年以上修行をしてきたので、その後東京に戻ってきて、だし秀の系列店である「麻布 秀(あざぶ しゅう)」で7年勤めました。

まさに「和食の料理人」人生ですね。
和食の修行ってかなり厳しい印象がありますが、出汁ってどのくらいの経験を積めば極められるのでしょうか?

山本 博之さん

出汁を引くこと自体はレシピがあれば誰でも引けると言えば引けると思います。
ただ、時間のタイミングだったり、食材の状態、季節によっても違ってきますので、やっぱりそういうのを加味すると安定して出せるようになるまでには何年かかかると思います。

山本さんは麻布秀さんに入ってどれくらいで大将に認めてもらえるようになったのでしょうか。

山本 博之さん

出汁を引いたり、煮物をしたりというのは一般的に10年近くかかります。
最初は盛り付けから入って、揚げ物、それから焼き物を任されて、魚をおろして、お造りを引く。花形は煮物、出汁を引くです。

ちょっとずつステップアップしていくのですね。
修行時代に辛かったことはありますか?

山本 博之さん

なかなか技術が身につかなかったことですね。できなかった時は本当に辛かった。悔しかったです。
でも、やり続けていたらふっと出来るようになったタイミングがあったのですよ。

受け継がれる秘伝の出汁

「だし秀」は出汁をメインにしたお料理の数々をお出ししていますね。
普段は縁の下の力持ち的な「出汁」ですが、だし秀さんのお出汁の特徴を教えてください。

山本 博之さん

まず、出汁は三種類、そして返しは二種類用意しています。
返し(醤油ベースの調味料)は姉妹店になる麻布 秀(あざぶ しゅう)時代から使われている秘伝のレシピを使用しています。

秘伝のレシピって凄い惹かれます!

山本 博之さん

はい。そこは門外不出です(笑)知っているのは私と麻布 秀の大将だけです。
この味付けは関西をメインとしているので、薄味だけど味がしっかりしているようなお出汁をお出ししています。
これは関西風?関東風?ってよく聞かれるのですが、関西ほど薄味じゃなく、かと言って関東ほど濃い味ではない。それでもしっかりした味わいを感じることが出来る出汁です。

すごいこだわりを感じます。
どういった食材で出汁をとられていますか?

山本 博之さん

鰹節は三種類、昆布、いりこ、あごだし、煮干し、ほし貝…色々と使っていますが食材もしっかりとこだわっています。
やっぱり良い鰹節で出汁を取ると全く味わいが違います。
脂のノリがあっさりとした鰹のほうが濁らない良い出汁がとれます。

出汁の配合とこだわりの食材

だし秀さんで一番「出汁」を味わえるお料理は何になりますか?

山本 博之さん

正直かなり出汁の味付けにも苦労しました。
食材を入れると当然その食材の出汁も出るのでそういったところも計算をして、そのまますぐにお召し上がれるように調整をしました。
上品な出汁の味わいの中にも、しっかりとした味わいを感じられて、そこに食材をくぐらせていただくことにより一層美味しく、食材とお出汁の味を感じていただけると思います。
6種類の薬味もお出ししておりますので、6種類の薬味と共に食材の旨味を感じて欲しいです。

ちなみに出汁しゃぶはどういった食材を楽しめますか?

山本 博之さん

金武(きん)アグー豚という、アグー豚の中でも一番純血に近い豚を使っています。
牛肉は石垣牛を直送しています。最近では都内でも食べられるお店がちょっとずつ増えてきましたが、やはり希少な牛肉です。
金武アグーも石垣牛も系列のお店が沖縄にあるので仕入れることが出来ています。
野菜は築地市場を中心に仕入れを行っています。

「金武アグー豚」初めて聞きました。
関東で置いてあるお店は少ないのでしょうか?

山本 博之さん

東京で食べられるお店は殆どないはずです。
生産頭数もかなり少ないので希少な豚だと思います。

聞けば聞くほど魅力的な出汁しゃぶですね!

和と洋の融合

その他、お店で出している料理はどういった料理なのでしょうか?

山本 博之さん

やはり出汁を使った料理なので、炊き込みご飯とか煮物とかもお出ししていますが、私以外にも洋食のシェフもいるので、洋のテイストを取り入れていこうと考えています。
漢方牛で作ったローストビーフや、出汁料理の代表格である茶碗蒸しも「トマトとベーコンの茶碗蒸し チーズ餡掛け」といった洋のテイストをふんだんに取り入れています。カルボナーラのような茶碗蒸しが出来ました。もちろん「出汁」の風味もしっかりと味わえます。

たくさんのご要望にお答えしたい

今後「だし秀」さんはどういうお店にしていきたいとお考えですか?

山本 博之さん

西麻布という場所にありますが、堅苦しい和食というよりもちょっとカジュアルな感じで行きたいと思ってもらえるようなお店にしたいと考えています。
洋食出身のシェフと一緒に試行錯誤をして和と洋を盛り込んだスタイルでお出ししていきたいですね。手作りのスイーツも何種類か常にご用意しておきたいです。

今はコース料理だけ(2017年の営業中は 8,000円のコース料理のみを提供。ドリンク2杯付き)ですが、今後はアラカルトでも注文ができるようになるのでしょうか?

山本 博之さん

そうですね。アラカルトでも注文いただけます。
もちろんコース料理も提供します。予算を言っていたければそのご予算で料理を提供させていただきますし、二次会でご利用していただいたり、お一人様カウンターで酒の肴をつまんでいただきながら一杯飲んでいただいたりするのも大歓迎です。
気軽にご来店頂ければと考えています。

和と洋の融合。今後が凄く楽しみです!
本日はありがとうございました。

だし秀 西麻布

住所
〒106-0031 東京都港区西麻布1-15-7 モダンフォルム西麻布パートⅡ1F
電話番号
03-3470-8156
URL
http://dashihide.com/

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この記事の執筆者

グルメブロガー バーボンなつき

将来の夢は「板前」から始まりました。
それなのになぜかSE・一般事務・経理を経験。
しかし飲食への熱い思いは留まることがなく、エンゲル係数が高い生活へ。
作る、見る、食べる、食べてもらうことが好き。

キャッチコピーは【胃の中に入るものは何でも好き。】
しかしピーマンは食べられません。