インタビュー

船橋市にある有名タイ料理屋「アジア食堂ジェーン」のオーナーシェフ矢口俊彦氏にお話をお聞きしてきました。

千葉県船橋市に店舗を構える人気のタイ料理「アジア食堂ジェーン」を経営される矢口さんに今に至るまでのタイ料理への考え方やこだわりをお伺いしてきました!!

矢口 俊彦さん

アジア食堂ジェーン 経営
店長兼料理人

1971年東京都出身
18歳の頃より居酒屋・中華料理など飲食店に従事、市場に勤めた経験もあり

31歳の時にアジア食堂ジェーンに勤務
同時に新宿に店舗を構えるタイ料理屋にてより深くタイ料理を学ぶ
その後アジア食堂ジェーンの経営権を取得しオーナー店長となる

無給で働かせてもらった新宿のタイ料理屋

先日ジェーンさんで食事をさせていただきましたが、本当に美味しかったです!
私はタイに行ったことはあるのですが、仕事で行ったので時間があまりなくて料理をそんなに食べることが出来ませんでした。
それでも何となくジェーンさんの料理は本場っぽい感じがあります。
そういったお料理はどちらかで修行をされたのでしょうか?

矢口 俊彦さん

最初は、アジア食堂ジェーンは俺が経営していなかったんですよ。
料理人として雇われたんです。
その頃に、もっと美味しいタイ料理を極めたくて、色々なお店に食べに行ってました。
そして、見つけたんですよ。
新宿に美味しいタイ料理のお店があったんです。

もうジェーンさんで働いていたのですよね。
何度も通いつめて味を覚えた感じですか?

矢口 俊彦さん

いえ、働かせてくれって頼み込んだんです。
船橋のアジア食堂ジェーンで終電近くまで働いて、終電で新宿へ。朝方までやっているお店だったので、朝まで新宿で働いてました。
厨房にはタイ人しかいないタイ料理屋でしたね。

「ここ!」と思うお店で働く行動力が凄いですね!

矢口 俊彦さん

もちろん最初は断られましたよ。
だから、ノーギャラでいいって。給料いらないから働かせてくれって頼みこみました。
お金払って教えてほしいくらいのものを教われたんで満足しています。

タイ料理に向き合う気持ちが凄いですね。

本場タイの味と日本人向けの味との中間

矢口 俊彦さん

お客様に「作ってるのタイ人?」って言われることがあるけど嬉しいですね。
タイ人のお客様が来て満足してもらえるのも嬉しい。
でも、アジア食堂ジェーンが狙っているところは、実はタイの本場の味と日本人向けのタイ料理のちょうど中間くらいなんですよ。

そうなのですね!
一般的な日本のタイ料理は日本人向けにアレンジされたものなのでしょうか?

矢口 俊彦さん

美味しいお店も沢山ありますが、日本のタイ料理屋さんの味って、あまりバンコクとかでも食べられないんですよね。
結構独自発展の部分が多いんです。
日本人って塩分好きで酸味が嫌いな人が多いんだと思います。
トムヤンクンも本場は砂糖は全く入っていないんですよ。酸っぱ辛くて、ちょっと飲みづらい。日本の場合はココナッツミルクの割合を増やしたりして飲みやすくしています。

なるほど。
実は私、パクチーはちょっと苦手でして、パクチーが全面に押し出された料理はちょっと…

矢口 俊彦さん

大丈夫。パクチー俺も嫌いです(笑)

え!?(笑)

辛いだけがタイ料理ではない

矢口 俊彦さん

話は戻りますけど、今の有名タイ料理って中華の影響が強いんですよ。
タイは元々土鍋文化なのに、鉄のフライパン使ってやってます。
オイスターソースも醤油も味噌も中国の文化なので、ほとんど中華みたいな感じです。
ただ、だからこそ日本人に馴染みやすいんだと思います。
初めてでも食べられる味。
日本で有名なタイ料理は辛かったり独特の臭みがあったりするだけど、焼鳥とかもち米とかもあるし、そうでもない料理も沢山ありますよ。

確かに何となく辛いイメージがありますね。

矢口 俊彦さん

焼き物、揚げ物、ごはん類、麺類。ほとんど辛くはない。
串焼きも唐揚げもちゃんとあるし、現地の辛くなくて酸っぱいカレーとか全然有名じゃないんです。
本場にこだわると、魚も生臭いし、正直酸っぱくて食べづらかったりする料理が多いです。
そういう料理をしっかり魚の臭みを消したり、酸味を減らしたり、ちょっと食べやすくしているから、ジェーンは「タイの本場の味と、日本人向けのタイ料理の味とちょうど中間くらい」の味のタイ料理をお出ししています。

そういったことは聞かないとわからないことだらけですよね。

美味しくするための工夫やアレンジ

他にもこだわりはありますか?

矢口 俊彦さん

来ていただくからには美味しくがモットーです。
タイ料理は勢いの料理です。
例えば炒め物。火力を上げて、しっかり余熱で火を通します。
作り終わった時点で理想の6割位の火加減。運ばれて8割。お客様が箸を手にとってちょっと喋ったりしながら食べ始める時点で9割位になるようにしていたりもしますね。
提供してから時間が経ってお皿に残っていると、火が入り過ぎちゃっています。辛い調味料を使用している料理だと、辛味は食材にどんどん染みていってしますので、最後は食べれなくなったりしちゃいます。
料理は美味しいうちになるべく早く食べていただきたいですね。

やっぱり「美味しい」が矢口さんの原点なのがよく分かるエピソードですね。

矢口 俊彦さん

そうですね。常連のお客様だとお客様の好みに合わせて微妙に味を変える時は有りますよ。単純なところだと油、塩分、濃い薄い、辛さ。ですね。
最初に来た人はあまり味のリクエストは聞かないようにしています。
最初にオリジナルで食べてもらって、その後に「こうしてもらえる?」は嬉しいのでガンガン要望は言ってほしいですね。

それはありなんですね!
かなり味にこだわりがあるので、失礼ながら俺の料理が一番うまいだろ!食え!かと思っていました。

矢口 俊彦さん

味の好みはありますからね。
問題は俺と話せるか…

お一人で調理されているので正直話しかけにくいかもしれません。しかし自分好みのアレンジをしていただきたいので空気も読みつつですが矢口さんとお話をしたいです!

本当の「本場の味」を知っていることの大切さ

タイと日本アレンジの中間の味を表現するにあたって色々と苦労があったのではと思いますが具体的にはどの様にして今の味に至ったのですか?

矢口 俊彦さん

やっぱり美味しく食べてもらうために色々試行錯誤はしましたよ。
油はラードを使っていたり、一番最初に苦労したのは砂糖ですかね。
タイ人って精製された砂糖が好きなんですよ。そして俺はそれが嫌いなんです。
そこでせめぎあいがありました。
俺は安い食材もちゃんと使うんです。ナンプラーも安いやつ。
安くても工夫次第でちゃんとやれるんだよっていうのを実践したいんです。
後は、タイと日本向けアレンジの中間を狙っているので、日本人向けのアレンジになりすぎないようには工夫していますね。
後を引く味にしたり、ちょっと濃い目にしてみたり。

タイに行った時、もっと現地の料理を食べておけばよかったです。
ちなみに、タイにも実際行かれるのでしょうか?

矢口 俊彦さん

去年は行けていませんが、一昨年までは毎年タイに行って何食も食べて帰ってくるっていうのをやっていました。
1週間弱ですが、実際にタイの料理屋さんの厨房に入ったこともあります。

え?どうやって入ったのですか?

矢口 俊彦さん

ちょっと知り合いに口を利いてもらって入らせてもらいました。
正直に言うと、「こんなもんか」っていう感じでしたね。
だからこそ言えるが俺は本場をちゃんと知っています。

本場って言えば、某口コミグルメサイトを見て来店されるお客様は、なんだかこだわりがある人が多かったりするんですよ。
それで「本場と味が違う」なんてたまに言われちゃうんです。
「失礼ですが、タイのどこら辺?どちらのお店で召し上がったのですか?」って言うと先ず返事がない(笑)
それで、後で悪い口コミ書いてくるんですよ。

口コミで点数が高い日本のタイ料理屋さんに行って、それが本場の味だと思われているということですかね。日本人向けの味と本場という言葉は一致しないですよね。

アジア食堂ジェーンの楽しみ方【ビール】

タイ料理をもっと美味しく食べていただきたいという想いを強く感じることが出来ました。
そんなアジア食堂ジェーンさんはどのように楽しめばよいでしょうか?

矢口 俊彦さん

先ずはビールを飲んでほしいですね。
飲み比べてもらっても面白いと思います。

私はタイガービールが好きですが、FOODee 編集長のアカヌマはシンハーが好きだと言っていました。

矢口 俊彦さん

俺から言わせるとシンハーはドラフト(樽生)より瓶ビールで飲んだほうが美味しいですよ。
ドラフトで飲むたらシンハーは香りが立つので冷やしていないグラスで、タイガーは喉越しもいいので冷たいグラスで出しています。
シンハーは意外と注文が多いので正直びっくりしています。
俺はあんまり美味しいと思わないので。

そ…そう思われているのになぜシンハーも樽生で提供しているのでしょうか?

矢口 俊彦さん

意地ですね。
ただ、この2つのビールをドラフトで両方飲めるお店は日本でアジア食堂ジェーンだけです。そういった意味ではやっぱり飲み比べると面白いかもしれませんね。

アジア食堂ジェーンの楽しみ方【お料理】

料理の方は如何でしょう?オススメの食べ方とかありますか?

矢口 俊彦さん

こっちでコースを作ると不評なんですよ(笑)
常連のお客様は自分のコースを作ってくれています。
空芯菜かサラダからの、炒め物と焼き物、そしてご飯か麺が王道ですね。
後は、4人で来るのが一番いいと思いますよ。

なぜ4人なのですか?

矢口 俊彦さん

人数が多い方が売上的には嬉しいのですけどね。大人数で6人とか8人でいらっしゃると、2人前とか3人前を要求されるんですよ。
火力の問題もあって一気にたくさん作るとどうしても味が壊れます。
同じ料理を3人前頼まれて1つずつ出すわけにもやっぱりいかないんですよね。
4人だと、一つの料理をシェアできるから色々食べれるしオススメです。
そういった意味では大人数はあんまり受けたくないですね。

なるほど。次回は4人で伺います!
最後に、今新しくやろうとしていることや今後について教えてください。

矢口 俊彦さん

タイ東北地方(イサーン)の料理の一つにチムチュムっていうタイ鍋があるんですよ。
これがね。美味しいから多くの人に食べてもらいたいです。
まだメニュー化してませんが、これからやり始めるので是非食べていただきたいですね。

食べたことないです!
それもぜひ食べてみたいです。
矢口さん、本日はありがとうございました。

矢口さんとお会いして感じたことはTHE料理人。
自分の信条は曲げない。しかしお客様から要望を言われたり質問されることが嬉しいと、にかっと笑う表情がとても印象的でした。
思ったことはダイレクトに伝えてくださりとっても真っ直ぐな方だと思いました。
それなのでお話をしていてとても楽しい!
そんなお人柄がメニューのお料理説明にも反映されていてメニューを見るとワクワクします。
矢口さんが「絶品」と言うなら絶対美味しいだろうな。食べてみたい!となります。
ジェーンさんにお越しの際はお料理説明もぜひ見てみてください。

アジア食堂ジェーン

住所
千葉県船橋市本町2-10-29
電話番号
047-437-1119
URL
http://www.ajisyoku.com/index.html

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この記事の執筆者

グルメブロガー バーボンなつき

グルメブロガー バーボンなつき

将来の夢は「板前」から始まった人生
それなのになぜかSE・一般事務・経理と様々な経験をしてきました。
しかし飲食への熱い思いは留まることがなく、飲食業界に戻ってきました!

キャッチコピーは【胃の中に入るものは何でも好き。】
しかしピーマンは食べられません。

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