インタビュー

メディアで大注目30年以上続く定番メニュー「ジャンボトースト」ヒットの仕掛け人にお話を伺ってきました。

ジャンボトーストでメディアで注目を浴びた呂久呂。
先見の明、そして直感で突き進む。また「食」の道で幅広く活動される野口さんにお話しをお伺いしてきました。

野口 由布子さん

合同会社福千やけいかく 代表取締役

1970年千葉生まれ
千葉で明治時代より続く商家に生まれる。 インテリア・住宅関連会社にて、新規店舗立ち上げ、企画、海外商材の輸入等の業務を担当。その後大手広告代理店でイベント関連のアシスタントを経て、2009年より千葉県の有機農産物のマーケット「アースデイマーケットちば」を企画・主宰、千葉県内の農産物や水産物等の生産者と消費者をつなぐ企画に携わる。

2014年に生家の飲食店「呂久呂」の経営を引き継ぎ現在に至る。

呂久呂の誕生。そして4代目になるまで

本日はよろしくお願いします。
かなり昔からお店があると伺っているのですが、いつ頃からこちらのカフェはあるのでしょうか?

野口 由布子さん

実は私も明確にはわかっていないのですよ。明治40年代の地図にはのっているので、お店自体はその頃からあると思います。
元々は曽祖父が履物屋さんを初めたのがきっかけで、私で4代目です。

歴史がありますね。30年続くお店が0.3%としかないと言われていますが既に70年以上続けていらっしゃるのですね。
ちなみに店名の呂久呂(ろくろ)って珍しい名前ですよね。

野口 由布子さん

元々芸術が好きな父が、イスタンブールにある宮殿で伊万里焼のコレクションを見て感動したのもあって陶芸に目がいったそうで、それがきっかけで陶芸のギャラリーを始めました。
しばらくしてから、そのギャラリーの下の階でテナントが空いたのでじゃあそこで陶芸作品に接してもらおう!ということでカフェをやろうとなったのが大体40年前です。
呂久呂はロクロの当て字です。

なるほど、それで呂久呂という名前にされたのですね。

野口 由布子さん

食器とかもまだ収集しています。
また店頭でも幾つか販売していますよ。

ちなみに、野口さんがお店を経営するようになったのはどういった経緯があったのですか?

野口 由布子さん

元々10年くらい前はお店を手伝ったりはしていたのですが、3年前に父が突然亡くなって、急遽私が継ぐことになったのです。
正直言うとあんまり飲食業に執着はなかったのですが、やるしかないという状況になってから真剣にやり始めました。

カフェ経営をするにあたってのコーヒーへの考え方

執着が無いとおっしゃっている割にはかなりこだわりを感じます。
コーヒーも酸味があってとても美味しいです。

野口 由布子さん

コーヒーにも最初は関心がなかったのですよ(笑)
経営をすることになってから勉強をしました。
スペシャリティコーヒーの先駆者と言われている方に相談をしたりしながら、独学でコーヒーの勉強をしました。
コーヒーは自分の好きな味探しだと思います。自分の好きな味さえわかってしまえば後はそこから広げていく感じですね。

なるほど。私はまだ自分の好きな味がわかっていないかもしれません(笑)

野口 由布子さん

基本的には自分が好きなものを売るようにしています。
勉強して、2年くらい前にコーヒーの味を殆ど変えたのです。
豆の質をとんでもなく良くしました。
スペシャリティコーヒーが好きで、抽出方法も変えています。
離れてしまった常連のお客様もいましたが、もちろん新しく通ってくださるお客様も増えました。

自分の好きなものは確かに全力でオススメできますよね。

カレージャンボトーストの誕生から今に至るまで

ちなみに、話題のカレージャンボトーストも野口さんが開発されたのでしょうか?かなり色々なメディアで紹介されているようですが…

野口 由布子さん

ジャンボトーストは実は30年くらい昔からあったのです。
ハニートーストのほうが先にあって、カレーライスが別であったのです。ちょっとあやふやなのですが、まかないで出していたのか、常連のお客様に言われたのかして出来たメニューがカレージャンボトーストです。
サイズは今では、ハーフサイズと、通常サイズの2種類ですが、それもお客様に言われて始めたのだと思います。

正直、今となってはどういう経緯かわかっていないのですが、それくらい昔からあるということですね。

ジャンボサイズは男性でも結構お腹いっぱいになりますよね。

野口 由布子さん

私も食べるならハーフサイズなのですが、女子高生が2人で来て1個ずつペロッと食べていったりしていますよ。

それは凄いですね。

飲食店経営をするにあたってのこだわりと戦略

ジャンボトーストの味は全く変わっていないのですか?

野口 由布子さん

実はちゃんと計算をして味も変えました。トーストは大きいサイズの方が売上があがります。そして量が多いので味が濃いと駄目なのです。だからカレーは濃くなりすぎないように味を調整しました。
そしてトッピングメニューも作って単価も上げる工夫をしました。

進化を遂げられているのですね。

野口 由布子さん

そうですね。
カツカレージャンボトーストは完全にインスタ映え・マスコミ受けを狙って作ったメニューです。
取材も何度もされてこれは様々な意味で成功した商品です。

しっかり戦略が練られているのですね。
他にも何か工夫されていることとかはあるのでしょうか?

野口 由布子さん

実は隠し味でカレーにはコーヒーが入っています。
味わって食べていただけるとコーヒーの酸味がわかるかと思います。
後は、パンもかなり試行錯誤して作りました。特注で作ってもらっているのですが、市販のパンだと耳が焼いた時にパリッとなりづらいのです。
二度焼きするので、硬くならないような工夫をしています。フランスパンがベースの食パンで塩味がちょっと強めのパンです。
パンを今の形にしたのはここ2年くらいで私が継いでからです。10回以上やり直しをしてやっと完成しました。

メディアに取り上げられるようになったきっかけ

30年以上も前から続いている定番メニューがどうしていきなりメディアに取り上げられるようになったのでしょう?

野口 由布子さん

とあるブロガーの方が取り上げてくれたのがきっかけでした。
正直、自分の中ではそんなに響いていないメニューだったのです。
お客様が見つけてくれて、世の中にはこういうものが受けるんだなぁって思いました。(笑)

そんな感じだったのですね(笑)

野口 由布子さん

私が経営するようになって、最初は自分が好きなことをやってみたのです。
ワインと野菜…という感じです。しかし、あまり受けが良くなかったんですよ。
その時、世の中に受けるものと自分の趣味は別だなと思いました。
ただ最近またちょっと発想が変わってきました。お客様に受けるのはシンプルでわかりやすいものがいいのですよね。想像出来るようなわかりやすさじゃないと駄目なんじゃないかと気がつきました。

ブロガーにたまたま取り上げてもらったと野口さんはおっしゃいましたが、しっかりと取り上げられるような創意工夫があったからなのだと思いました。
今日は貴重なお話を伺えました。
ありがとうございます。

今回の取材を通じて感じたことは野口さんは「経営力がとてもある方」ということです。
売上をあがるために単価を上げる、原価を下げるということは飲食店で必ずぶつかる壁だと思うのですが、ただ単純にテコ入れをしたのではなく、そこに味の妥協はなくとても誠実な人柄が見えました。
今後はホームページでの商品販売や雑貨の輸入、そして今までの経験を活かして食材流通においてのプロデュースを行うプロジェクトもあるそうです。
今後のご活躍も益々楽しみです!

呂久呂(ろくろ)

住所
〒260-0013 千葉県千葉市中央区中央3-4-10
電話番号
043-224-5251
URL
http://rokuro.cafe/

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この記事の執筆者

グルメブロガー バーボンなつき

将来の夢は「板前」から始まりました。
それなのになぜかSE・一般事務・経理を経験。
しかし飲食への熱い思いは留まることがなく、エンゲル係数が高い生活へ。
作る、見る、食べる、食べてもらうことが好き。

キャッチコピーは【胃の中に入るものは何でも好き。】
しかしピーマンは食べられません。