インタビュー

バーテンダー歴20年の鈴木真一が語る「バーテンダーの仕事。接客の心得」とは?

1つの質問に対し、10のことを教えてくださるバーテンダー。38年間のキャリアを持つ鈴木さんに「バーテンダーのお仕事」について伺ってきました。

鈴木 真一さん

東京都出身
1979-2003年の24年間銀座にてpubとBarを経験
内、 1店舗のマネジメントを行いながら銀座 M’s BURN の店主を務める
2004年~ 亀戸のBAR 1959
2007年~ 亀戸のBAR As is
2011年〜  町家のBAR Penzance
2013年~ 錦糸町にてTake your time

銀座で24年間、pubにてお酒はもちろんのこと、お客様に喜んでいただくための接客スキルを学ぶ。
下町と呼ばれる地元にて洋酒文化を広めたいという気持ちから地元に戻り、Barを開業する。

バーテンダーという仕事

本日は宜しくお願いします。早速なのですが、バーテンダーってどんなお仕事なのか教えてください。

鈴木 真一さん

「器用貧乏なので、生涯定職にはつけません」って小学校の頃に担任の先生に言われました。でも、水商売を38年。バーテンダーを20年。定職どころか、同じ職業でこんなにも続けてられています。
教えるっていうのはおこがましいのですが、バーテンダーってどこか先生みたいな仕事だなって思っています。僕がカウンターにたって人に影響力を与えられる事ができるなら、お客様に影響を与えて、自分も一緒に襟を正していく。そうやってお客様と成長し合える関係性を作っていくのがバーテンダーの仕事なのかもしれません。

いきなり深い話ですね!
今のお店を立ち上げられた経緯を教えて下さい。

鈴木 真一さん

新陳代謝が起きる場所が一番いいと思って、錦糸町でどうしてもお店をやりたかった。それも北口側。JRはもちろん、半蔵門線もありスカイツリーも出来たばかり。錦糸町が一番HOT。そう思ったので錦糸町で物件探しをしました。今のお店はオープンして4年になります。

バーテンダーをしていて気をつけていることは何かありますか?

鈴木 真一さん

もちろん僕たちは技術者なんですけど、その前に、パーソナリティの部分を勉強しなければならない。あそこに行こうっていうよりは、「鈴木のとこ行こう!」と言われたいです。
後はやっぱりお客様としっかり向き合うことです。期待には応えたい。
「お酒を教えて欲しい」と言って通ってくれるお客様がいるのですが、彼にお出ししたお酒はこうやって全部メモをと取っています。

うわーすごい!ここまでしてもらえたらうれしいですね。これってこのお客様は知っているんですか?

鈴木 真一さん

もちろん知らないです。でも、こうやって少しずつお客様と一緒に僕も襟を正しているんです。
他にもある日バーテンダーになりたいという女性のお客様がやってきたんです。バーテンダーのこととか、お酒のことをもっと知りたいって仰ってくださって、そのお客様が今度来てくれたらって思って何が出来るかを考えたんです。そこでこんな8ページくらいの小冊子を作りました。

これもすごい!もらったら絶対嬉しいですね。

鈴木 真一さん

ありがとうございます。そのお客様はそれ以来お見えになって無いんですよ(笑)
でも、僕なりの教えてもらいたいという気構えがあることへの感謝の表現なんです。

そこまでお客様と真剣に向き合われているんですね。凄いです。

鈴木 真一さん

そうやって僕も成長していけることが嬉しいのです。それにしっかりやっていくとそれがブームになったりするんですよ。
ヒントになることってだいたいお客様からもらえるのです。近所のホテルに宿泊されたお客様がいらっしゃって、「欧風カレーを食べたけど美味しくなかった」ってがっかりされてたんです。
「じゃあ僕が美味しい欧風カレーを7月と8月だけ作りますから」って言ってご用意して待っていました。若い時に食べて美味しかった伊豆の川奈ホテルのホテルカレーをイメージして作りました。仕込みに6日位かかる本格的な欧風カレーです。

鈴木 真一さん

結局そのお客様はそれ以降お見えにならなかったのです。しかしカレーが大好きすぎてカレー屋で働いていたご経験があるというお客様がたまたまそのカレーを食べて下さり、大絶賛してくださったんです。
口コミで一気に広がり、カレーのご予約をたくさんいただきました。今年の夏はどれだけカレーを作ったか(笑)
結局、8月の売上はカレー効果もあって去年の12月よりも売上が良かったです。ライスもこだわりたくて高級炊飯ジャーを買ってしまいました。

食べてみたくなります!
お客様のご要望に本気でお答えしているのがよく分かるエピソードですね。

好きこそものの上手なれ

鈴木 真一さん

「好きこそものの上手なれ」ってよく言いますが、本当にそれなんですよ。バーテンダーを続けていて辛いって思ったことは一回もないです。凄く混んで、朝6時まで洗い物をしていても別に辛くないです。

なるほど。バーテンダーをしていて一番楽しい時ってどんな時ですか?

鈴木 真一さん

やっぱりお酒の話で盛り上がることが一番楽しいです。お酒の話で上手くキャッチボールが出来た時はこんなに楽しいことはないです。
微笑ましいと思うのは、常連さんと初めてくるお客様が適度にコミニケーションをとれていたりしていると嬉しい瞬間だったりしますね。

今後はどういった活動をしていきたいですか?

鈴木 真一さん

やっぱり洋酒文化を伝えていきたいです。
池上彰さんみたいに、事細かいことでもしっかりとお客様に伝えていきたいと考えています。
自分が成長していくと相手も成長できる関係性をお客様と作っていきたい。
カウンターの聖域をどうつかっていくか。凄く遠くしていくか、狭くしていくかはバーテンダー次第です。
最近は本当にいいBARでもつぶれることもある。やっぱり、BAR文化はなくなってもらいたくないですね。

ありがとうございます。今後もバーテンダーとして良き先生でいてください。

お客様に喜んでいただきたいという気持ち

Take Your Timeさんのアミューズはとても豪華です!
こんなにこだわりを感じるアミューズを作られているBarはそうないのでは!?
季節に合わせて替えられているとのことです。
鈴木さんの「お客様に喜んでいただきたい」という気持ちがアミューズからも感じ取れることが出来ます。

Take Your Time(テイクユアタイム)

住所
東京都墨田区錦糸2-11-6 真ビル106
電話番号
03-6658-8868

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この記事の執筆者

グルメブロガー バーボンなつき

将来の夢は「板前」から始まりました。
それなのになぜかSE・一般事務・経理を経験。
しかし飲食への熱い思いは留まることがなく、エンゲル係数が高い生活へ。
作る、見る、食べる、食べてもらうことが好き。

キャッチコピーは【胃の中に入るものは何でも好き。】
しかしピーマンは食べられません。